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元上場企業社長から禅僧へ。島津清彦さんが説く、「お金に愛される人」が持っている特徴

2022/12/05 12:00 | 更新 2023/04/16 23:41
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世の中には、なぜお金を持っている人とそうでない人がいるのでしょう?もちろん個別の理由や原因はさまざまですが、「禅」の観点から見ると、そこには普遍的なお金の真理(お金のメカニズム)が働いているからと見ることができるそうです。禅僧でありながら、経営者としても長年お金の問題に向き合ってきた島津清彦さんに、お金がたくさん巡ってくる人の特徴やお金のメカニズム、お金の悩みを解消するための具体的なコツを教えてもらいます。
※お金にとらわれなくなった人に、お金は巡る。経営者でありながら禅僧・島津清彦さんが考える、「お金の本質」はこちら
※『心が回復する禅問答』著者が見る、資本主義社会のリアル。これからの資本主義社会を生き抜くために必要な禅思考はこちら

島津清彦さん


お金は吐いた分だけ入ってくる「呼吸」に似ている

お金がたくさん巡ってくる人は、いったいどんな人なのでしょう?お金というものは、まわりの人や社会に対して行った「貢献(消費や労働、助け合いなど)」が、巡り巡って自分のなかに還ってくるものです。また、お金は自分に必要な分だけ回ってきますから、たとえば「おいしいものを食べたい」と思ったら、自分がそれを食べるために必要な分だけが回ってきます。

ただ、世界には大きな志を持った人がたくさんいます。巨大な報酬を得ている有名な企業家たちもいますが、ここではその是非はともかくとして、お金の真理としては、たくさんお金が巡ってくる人は、それだけ大きなスケールでお金を出しているといえます。

仮に、「世界をもっとよくしたい」という志のもとに事業を行うならば、そのスケールの大きさに応じてお金が巡ってくるということです。

このお金のメカニズムを、わたしは「呼吸」と似ていると感じることがあります。呼吸は空気を吐いた分だけ自然に入ってきますが、肺活量が大きい人は、ふつうの人よりもたくさん空気を吐くがゆえに、多くの空気が入ってくるというわけです。

経営者兼禅僧という、半僧半俗を貫く島津清彦さん
経営者兼禅僧という、半僧半俗を貫く島津清彦さん【撮影=藤巻祐介 】


自分に対する「執着」を手放せば無限の「機能」が解き放たれる

では、わたしたちは、まわりの人や社会に対して、いったいなにを出していけばいいのでしょう?それは、自分が持つ「強み」や「得意なこと」をまわりに提供、貢献していくことだとわたしは考えています。自分が得た「有益な情報」などもそれにあたるでしょう。

つまり、自分のやりたいことや「世の中をよくしたい」という志をまわりに出していけば、それに基づき、やがて必要なお金が巡ってくるのです。

そのためには、やはり自分に対する執着やこだわりを完全に手放した状態が理想といえます。なぜなら、そんな「我執(がしゅう)」がないからこそ、「利益(りやく)」(善い行いをすると、巡り巡って返ってくること)となり、世の中に貢献するために必要な分だけお金が巡ってくるからです。

禅には、「無碍自在(むげじざい)」という言葉があります。これは、誰もが無限の自分なりの可能性を持っているのにもかかわらず、我執という蓋をしている。ゆえに、その蓋をのければ、持って生まれた本来の能力が出てくるという意味です。

本来の自分の能力を全解放できれば、あなたは「あるがまま」の状態になり、結果的にすべての機能が現れます。この状態を「全機現(ぜんきげん)」と呼びます。これは禅の概念で、人が持つすべての機能が発現している状態を表します。

そうして、あなたのすべての機能が解き放たれることで、結果的にあなたのもとへとお金も巡ってくるのです。

「すべての機能が解き放たれることで、結果的にお金も巡ってくる」
「すべての機能が解き放たれることで、結果的にお金も巡ってくる」【撮影=藤巻祐介 】


好きなことに打ち込めば、「あるがままの自分」に近づける

わたしの場合、禅の世界との出合いと修行がきっかけで、「あるがままの自分」に近づくことができました。

頭だけで「利他が大切」と理解しても、人間には我執がありますから、それだけでは行動に移すのはなかなか難しいもの。しかし、座禅をしていくと、そうした我執が除かれていきます。「全機現」という深く高い世界まで達するには、やはり一定の時間と修行が必要なのです。

座禅は行えば誰でも変わっていけます。具体的には、1日30分の座禅を3カ月、約50時間の座禅を続けると、脳内のセロトニン神経が構造的に変化することが研究からもあきらかになっています。ですから、わたしが主催するアカデミーでも、「まず3カ月だけは頑張りましょう」とお伝えしています。

マラソンでも筋力トレーニングでも、ある一定の地点まで行くことではじめて、その先の世界が見えてきます。我執の蓋を外すために、最低約50時間の座禅をやり切ると、本当に心身が変わっていきます。わたしの生徒さんにはいま77歳の人もいますが、少しずつ心身と言動が調っているようです。

「いきなり座禅はちょっと……」という方は、まずはストレス解消のためにヨガや瞑想をしたり、「好きなこと」に打ち込んだりすることから入っていけばいいでしょう。好きなことを夢中になって続けていくと、無心になって没入することで、結果的に禅と同じような境地に近づいていきます。

そんな夢中になれるものがあれば、それを見て「いいですね」「わたしにも教えてください」という人が現れて、人との新しい関わりが増えていき、結果的にお金が巡ってくることにもつながるでしょう。

それゆえ、夢中になることを見つけるのはとても大事なことです。なにかを最初にはじめたときのワクワクする気持ちを思い出し、それを自分だけで囲い込まず、まわりの多くの人に楽しみを分け与えていきましょう。すると、まわりの人も楽しくなっていき、究極的にはより多くの人との関わりを楽しむことができる状態にもなり得ます。

お金でうまくいっている人は、きっと自分の好きなことに没頭し、その楽しみを分かち合える人なのだと思います。

「夢中になる、無心で没頭できることを見つけることが大切」
「夢中になる、無心で没頭できることを見つけることが大切」【撮影=藤巻祐介 】


お金の悩みを解消するために今日からはじめられるふたつの行動

もうひとつ、お金の悩みを解消するために、今日からはじめていける行動のヒントもお伝えしましょう。

禅では、「戒・定・慧(かい・じょう・え)」という行動指針があります。「戒」は悪を止めること、「定」は心の平静を保つこと、「慧」は真理を悟ることを指します。これを実践するために座禅をはじめ禅の修行をするわけですが、ここでは「戒」に注目すると、「やってはいけないことはやってはならない。いってはいけないことはいってはならない」という意味合いです。

たとえば、案外多くの人が愚痴や悪口をいってしまいます。なぜなら、それをいうと気持ちいいから。しかし、そんな言動は巡り巡って、必ず誰かが聞いています。それを考えるとやっぱりいわないほうがいいし、そうした心がけひとつで、あなた自身の「あり方」に少しずつ変化が現れてきます。

また、禅では「玄関」という言葉は、奥深い道理や真理へと入っていく入り口、修行道場への入り口を意味します。それゆえ、わたしは自分の会社の玄関をくぐるときはいつも、「初心を忘れずにいよう」と思いますし、人様の玄関をくぐるときは整頓されているかつい気になってしまいます。商売をしている方、特に昔から長く続く店などでは、玄関に塩を盛って場を気持ちよく整えていますよね。

個人の玄関は、やはり「顔」といってもいいでしょう。よく「笑う門には福来る」といいますが、やっぱり人は「この人といると楽しいな」「居心地がいいな」と直感的に見てわかるものです。

お金が欲しくてニコニコするわけではないですが……表情や姿勢、言葉を含めて調えていくことはとても大事なこと。まずはかたちからでいいので、人が来る玄関や自らの表情や所作を美しくすると、結果的に心が調っていくはずです。

人には一時的に光を浴び、たくさんのお金が入ってくることもあります。しかし、多くの人はそれがずっとは続きません。なぜなら、繰り返しになりますが、真理としてお金は巡るものだからです。お金を無理に殖やして私腹を肥やそうとしても、やがてその人は持続不可能になるだけなのです。

禅は、真理のとおりに「状態」が維持されていくこと教えています。いまの時代にこそ、禅のサステナブルな教えからヒントを得て行動すれば、自分にとって必要十分なお金が、あなたのもとへと巡ってくるでしょう。

この記事のひときわ#やくにたつ
・自分に対する執着を手放すことで、持って生まれた本来の能力が発現する
・無心になって没入できることを見つけ、一定の期間それを続けてみる
・表情や姿勢、言葉を美しくすると心が調っていく
・お金は巡るもの

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=辻本圭介、撮影=藤巻祐介

『元上場企業社長の「禅僧」に、今の時代の悩みをぶつけてみた。心が回復する禅問答』プレジデント社(2022)
島津清彦著

【プロフィール】
島津清彦(しまづ・きよひこ)
株式会社ZENTech取締役ファウンダー、株式会社シマーズ代表取締役社長、禅メソッドアカデミー学長、曹洞宗僧侶

1965年、東京都生まれ。元スターツピタットハウス株式会社代表取締役社長。元ソニー不動産株式会社執行役員。東日本大震災での被災を機に上場企業の社長というキャリアを捨て、2012年に経営人事コンサルタントとして独立起業。その後、多くの世界の一流リーダーが禅に辿り着くことを知り、自らも出家得度し仏門入り。以降、経営者かつ禅僧という半僧半俗の姿勢を貫き、官公庁、大手企業などを対象に禅を活かした経営・組織開発コンサルティングやリーダーシップ研修、講演、坐禅指導などを行う。著書に『元上場企業社長の「禅僧」に、今の時代の悩みをぶつけてみた。心が回復する禅問答』(プレジデント社)、『仕事に活きる禅の言葉』(サンマーク出版)、『翌日の仕事に差がつくおやすみ前の5分禅』(天夢人)。学生時代にはテレビ番組の素人勝ち抜きお笑い部門でチャンピオンとなり、現在は髪も金色に染めるなどユニークな一面も。老若男女、国籍等にとらわれず、難解な禅の教えを誰にでもわかりやすく、変幻自在に伝えるのが信条。妻、娘、ミニチュアダックスフント7匹とともに暮らす。

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