「世の中に選択肢がないなら自分で作ればいい」、予防医学の観点から開発された「UMAMI COLA」コンセプトは“原点回帰”!

2022/09/27 12:03 | 更新 2023/04/15 11:50
SHARE
健康にも良いクラフトコーラ誕生秘話を聞いてみた!
健康にも良いクラフトコーラ誕生秘話を聞いてみた!

近年注目を浴びているクラフトコーラ。これまでご当地コーラと近しい道を辿り、「次に来るブーム」と言われながらもなかなか火がつかなかったクラフトコーラ業界に、異変が起きたのは2021年。「予防医学」の観点から開発された、ユニークな特色を持つクラフトコーラが発売された。コーラが健康的な飲料として認識され、その後、大手企業も次々と参入し、多種多様なクラフトコーラが誕生していく。新たなムーブメントが起こるひとつのきっかけとなったのは、八海山の甘麹をベースにした「UMAMI COLA」。今回、ほかとは一線を画すクラフトコーラを手掛けた、山田貴久さんに取材を実施。商品誕生のきっかけや、今後の展開について聞いてみた。

――まずは、2020年に会社を設立されたきっかけを教えてください。
【山田貴久】スタンフォード大学の元研究員である加納さんという友達と飲みに行ったときに、クラフトコーラ開発の話が進みました。

【山田貴久】実は、私はアルコール飲料もそれほど飲まないし、原因が疲労なのか、ほかの何かなのかもわからないんですけど、その約2年ほど前に急性膵炎になってしまって。病院で「次の日を迎えられないかもしれない」「親を呼びなさい」と言われたくらいの症状だったんです。とにかくめちゃくちゃ痛かったですね。その日から、本当にほとんどお酒を飲まなくなったんですけど、加納さんと飲みに行ったとき、私に付き合って、一緒にコーラを飲んでくれたんです。

「UMAMI COLA」を手掛けた山田貴久氏
「UMAMI COLA」を手掛けた山田貴久氏【撮影=平井あゆみ】


【山田貴久】私はコーラが好きというわけではなかったんですけど、飲み屋さんってソフトドリンクの選択肢がなくて。加納さんも健康を気にするタイプだから、絶対にコーラは飲まないと思っていたんですが、意外でした。話を聞くと、「実はコーラで癌を治療できるかどうか研究していた」とのことで!「コーラはもともと、薬剤師が作った体にいいものだったんだ」と教えてくれました。そこでさらに「もしかしてコーラって手作りできるの?」と聞いてみると、「作れるよ」と言っていて。

【山田貴久】飲食店でソフトドリンクの選択肢がなくて、物足りない思いをしていたのもあったので、「じゃあ新しい飲み物を作ってみようよ」と、なりました。その際、我々は、どちらかというと健康的なものを選びたがるタイプだったから、予防医学を意識したものしか採用しない「UMAMI COLA」を作ることにしたんです。

――“予防医学を意識したコーラ”とはどのようなものでしょうか?
【山田貴久】先ほど話したように、“もともと、薬剤師が作っていた”という点への原点回帰のコーラです。私は、“病気になったら医療にかかればいい”という考え方や、不健康な生活スタイルが好きではありません。海外では医療費が高額なので、人々は普段から健康でいようとするんですけど、そのほうが幸せ指数が高いという話もあります。そんななかで、日本でも普段から健康を意識し、幸せな生き方ができないかと、“健康に摂取できる”安心・安全なクラフトコーラを提供することにしました。

【山田貴久】コーラの実が含まれた“元気になれる気がする”カフェイン飲料でもなく、砂糖が大量に入った飲料でもありません。「UMAMI COLA」は、果糖ブドウ糖液糖ではなく、八海山の米麹で作った甘酒で甘みを出し、エルダーフラワー、ホーリーバジル、シークヮーサーといったスパイスやハーブ、 柑橘類など、自然の材料のみを採用して作ったナチュラルなエナジードリンクとなっています。

八海山の甘麹をはじめとした原料など、予防医学を意識したものしか採用していない
八海山の甘麹をはじめとした原料など、予防医学を意識したものしか採用していない【画像提供=UMAMI COLA】


【山田貴久】ちなみに、エルダーフラワーはヨーロッパで「万能の薬箱」と呼ばれていて、むくみの解消にいいそうです。ホーリーバジルの香りの成分、リナロールには、心をリラックスさせる作用があると言われていますし、アジアでは「不老不死の薬」として重宝されています。そしてシークヮーサーには、ノビレチンという成分が含まれていて、血糖値上昇を抑える作用、 発がん抑制作用、慢性リウマチ予防・治療に効果があると言われているんですよ。

【山田貴久】私は急性膵炎になったとき、3日前くらいからお酒が全く飲めなくなり、「お酒はなんか嫌だ」という体からのサインを受け取った気がしました。昨今、世間では炭酸水が人気ですが、それは現代人が添加物や果糖ブドウ糖液糖などを摂取し過ぎていて、これ以上は受け付けなくなっているからなのかな?と思ったりもします。香料と酸味料でフルーツ味に仕立てられたジュースではなくて、ちゃんとしたものをちゃんと飲もう、ということに人々が気づいてくれたら…と思っています。

――「UMAMI COLA」を開発するとき、目指すコーラの味わいと、甘酒をベースにすることによって作られるコーラの味わいに乖離はなかったんでしょうか?
【山田貴久】すごくありました。すごく難しくて、途中何度もやめようと思ったくらいでした。やはり、甘酒の味が強くて持っていかれるんですよね。

【山田貴久】コーラって何味かよくわからなくて、コーラはコーラ味ですよね。そういう味を目指していたので、何かが突出するのではなくて、うまくバランスの取れたものを作りたくて、結局1年半くらい開発に時間を要しましたね。

【山田貴久】最終的に「この味だね」と決定したときは、意外にも開発メンバーの意見が割れることなく一致しました。八海山に作っていただいた麹甘酒の存在は大きかったと思います。八海山の麹甘酒はクセがなくて、すっきりしているんです。わざわざコーラ用に作っていただいたことで、メンバー全員が納得する味わいが完成しました。

――八海山とはどのように出会われたんですか?
【山田貴久】一緒に開発した加納さんが、八海山の甘酒はおいしいと言っていたのがきっかけです。いろいろな甘味を試していくなかで、「八海山の甘酒はどうかな」という話になりました。それでダメ元でアタックしてみたところ、やはり八海山では基本的にそういうことはやっていないらしくて…。でも「おもしろそうだからやってもいいね」と、言ってくださったんです。

甘酒は冷やしておかないと保存できないものなんですけど、「UMAMI COLA」は常温で保存できるようにしたい…そのひとつをとっても革命的なこと。我々にとっては、賞味期限の推定もできないくらいに、いろいろなことが初めての挑戦だったのですが、たくさんのことにチャレンジし、チェックを重ねて今に至ります。賞味期限については結局、さまざまな検査を経た結果、製造より12カ月(未開封時)ということになりました。スパイスのクローブや、ミイラを保存するために使われていたアニスシードなどが保存に効いているようです。

「日本のものを世界へ広めたい」という熱い思いを語る山田貴久氏
「日本のものを世界へ広めたい」という熱い思いを語る山田貴久氏【撮影=平井あゆみ】


――「UMAMI COLA」というネーミングの由来を教えてください。
【山田貴久】以前から、日本のブランドがなかなか世界へ進出できないことに対する歯痒さや、日本のものを世界へ広めたいという思いがありました。ですので、この製品の名称には、“海外にも通じる日本語”としてUMAMIを採用しました。味を表現するような、日本語由来の英語はこれしかなかったんですね。でも、ちょうど麹甘酒にうま味成分のグルタミン酸が入っているので、「世界に通じる」に加えて、「味がおいしい」「体においしい」という意味で「UMAMI COLA」とネーミングすることにしました。

――クラフトコーラを飲み比べるブラインドテストのイベントについて教えてください。
【山田貴久】2年ほど前から渋谷などでゲリラ的に行っています。そこでわかったのは、最初は皆さん、クラフトコーラなんか知らないし、スパイスの入ったコーラが珍しいという感じだったのですが、今は慣れてきたようで「もっとクセのあるやつはないのか」と刺激を求め出したということです。クラフトコーラの認知度も高まり、大衆の味覚が変わってきたのかもしれません。

――今後の展開を教えてください。
【山田貴久】そもそも、缶ジュースを作ろうと思っていたんですね。けれども、いきなり始めるには資金も必要なので難しいと思い、炭酸水やお湯、牛乳や豆乳、ウーロン茶やお酒などで割れるシロップを開発しました。

【山田貴久】しかし今後の展開としては、コンビニなどで購入する際の選択肢のひとつとして、ナチュラルな「UMAMI COLA」の缶も並べたいという思いがあります。缶ジュースになると、ターゲットも若い層に変わってくると思うので、その際は若い層に向け、酸味を増やしたり、濃いめの味わいに変えたりする予定です。缶ジュースの販売は来春ぐらいに実現するのではないかなと思っています。

「UMAMI COLA」はコーラの素となるシロップ。炭酸水で4倍に薄めるなどして楽しめる。250ミリリットル1750円、 720ミリリットル 3400円
「UMAMI COLA」はコーラの素となるシロップ。炭酸水で4倍に薄めるなどして楽しめる。250ミリリットル1750円、 720ミリリットル 3400円【画像提供=UMAMI COLA】


この記事のひときわ#やくにたつ
・世の中に選択肢がないなら自分で作る
・自身の体験を商品、サービスのコンセプトに落とし込む

取材・文・撮影=平井あゆみ

■UMAMI COLA 公式サイト:https://umamicola.com/

商品名:UMAMI COLA(うまみコーラ)
価格:250ミリリットル1750円、 720ミリリットル 3400円
購入場所:UMAMI COLAオンラインショップ、スーパー、 イベントなどで販売中

人気ランキング

お知らせ